1. CD SHUKO MIZUNO 収録曲目解説
オペラ「ミナモ」と交響曲「佐倉」の楽想による管弦楽曲(1991)
大変長い題だが約14分半の曲。「国民文化祭’ 91’ちば」の閉会式の為、題にあるオペラ「ミナモ」を主とし、第2交響曲の内容を加味して新しい演奏会用作品としたもの。私としては自信作の一つです。とにかくオペラ「ミナモ」は今までの私の作品の中でも最も気に入っている作品です。

弦楽四重奏曲「夜の歌」(1996〜1998)
第三楽章は1996年に千葉大学水曜コンサートのために作曲したが、今回古典四重奏合奏団という名人の集まりのために、1,2楽章を作曲し、3楽章の作品とした。スタイルの異なる3つの楽章の変化を楽しんで頂けたらと思ってます。全部で15分程度の長さで、1、2章はこのコンサートが初演です。尚、古典四重奏は、レパートリーの曲を全部暗譜で演奏する世界有数の四重奏団です。

第一楽章は、ロマンティックでデリケートな、ややクロマティックなハーモニーと音運動による”夜のセレナーデ”です。
第二楽章はリズムを楽しむ”夜のセレナーデ”です。チェロのリズムをベースとしてポリリズムのスリルを楽しんでください。
第三楽章は第一楽章のクロマティックに対して、極めてダイアトニックな楽章で、ロマンティックな緩やかな部分がはやいバロック風なフーガをやさしく包んでいます。堅いフーガを優しく包む”夜の歌”とでも言うべきでしょうか。

キーボードとマルチ音源ドラムのためのエチュード「イヴ」(1996)
エレクトリックな張りつめたドライブ感覚と肉体運動の限界をゆくスピード感を追求した作品です。超スピードの車を運転する現代の”イヴ”のイメージがあります。その車が離陸して空高く舞い上がってほしいのです。

宵の宴(1975)
この曲は本来三味線の杵屋静子さんに頼まれて作ったものですが、三味線よりも機動性に富んだ中国琵琶の方が適しているように思います。全体はわらべうたのような簡単なメロディを基に、それを変奏したり修飾して新しいメロディーにしたりしながら楽しい音楽にしようと考えました。

5つの楽章からなり、最後は王朝バロック風に終わります。「イヴ」とは反対にのんびりと宵をくつろげればと願っています。特にこの作品のためにお忙しいところを各方面で活躍されている一流の方々が集まってくださいました。

除夜のためのエチュード(1975)
この曲は12月31日の夜大晦日に四方八方から鳴り響く大小何万個の鐘を想像して作曲したものです。広い空間に巨大な鐘や高い音のする無数の鐘が鳴り響くことを考え、ピアノの音をあらかじめ録音し、自分で録音した音と実際にステージで弾く音を合わせる方法をとります。私の研究室で、長年、音響技師をしてくださった内記忠敏氏がエレクトリック操舵をします。

混声合唱曲「あしたのオデッセウスたち」片岡輝作詞(1988)
私には片岡輝さんの詩に作曲した合唱組曲が3曲ありますが、これはそのひとつです。4曲より成り思春期から青年期に向かってゆくみずみずしい情感を謳ったったものです。私が求めた物は、片岡さんのすばらしい詩にふさわしい情感を持った和声と、しなやかなメロディを作ることでした。

おやすみなさいお月さま
多くの合唱団の愛唱曲、心優しい子守歌。歌詞は当時6才の加田多喜子さんの詩です。